山口FG傘下のもみじ銀行は、ともに広島県内を地盤とする広島銀行と競合している。その上山口銀行も広島市内中心に11店舗を展開。広島県東部は岡山県を本拠地とする中国銀行が進出して強固な地盤を築いており、金融機関同士の競争は激しい地域である。
そのなかで広島市に本店のある広島銀行ともみじ銀行に絞ってその財体質を分析してみたい。
・自己資本比率は、広島銀行の11.65%に対して、もみじ銀行は12.58%で、ともに国内基準の4%を大幅にクリアしている。ただし、正常債権の判定は各行の独自の基準による貸出金の自己査定結果が反映されている。一般的には第一地銀、第二地銀、信用金庫の順にその査定基準が甘い傾向にある。いわゆるダブルスタンダード、トリプルスタンダードと言われる由縁である。
・広島銀行の預金残高は前年同期比4.03%、一般預金(譲渡性預金を除く)は前年比3.98%増加している。一方、もみじ銀行の預金残高は、0.94%のプラスとなったのは譲渡性預金の導入によるもので、一般預金は前年同期比▲1.72%となっており、預金が集まらない状況になっている。
・貸出金残高も広島銀行は伸びているが、もみじ銀行は個人ローンの増加により、プラスを維持したものの、貸出競争の激化および金利低下の影響を受けて、伸び悩みの傾向にある。また広島銀行のメイン先企業はもみじ銀行の1.8倍、貸出金利回りも1.62%に対してもみじ銀行は、1.80%で、これ以上の金利引き下げは収益の圧迫要因となり厳しい状況。
結論として、広島銀行ともみじ銀行の地元銀行同士の競争では、バブル時代の不良債権処理で低迷した広島銀行。一方、自力では不良債権が処理できずに山口銀行FGの救済を受けたもみじ銀行。負の遺産処理を終えて優勢に立つ広島銀行が福岡銀行との提携関係を強化し、今後本格的な反転攻勢を強めることになれば、山口FGグループの北九州銀行のみならず、もみじ銀行も大きな影響を受けることが予想される。
▼関連リンク
・九州・山口の地銀実力ランキング~地銀グループ編(1)
・九州・山口の地銀実力ランキング~地銀グループ編(西日本シティ銀行)(2)
・九州・山口の地銀実力ランキング~地銀グループ編(山口FG)(3)
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら